クラシックルートで上高地へ ②岩魚留小屋~徳本峠小屋

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Byよっし~

2018年9月24日(月・振替休日) 晴れ時々曇り一時小雨

九月に入つてから、彼女が画の道具を持つて私を訪ねてきた。
その知らせをうけた日、私は徳本峠を越えて岩魚止まで迎へに行つた。
彼女は案内者に荷物を任せて身軽に登つてきた。
山の人もその健脚に驚いてゐた。


『智恵子の半生』(高村光太郎)より。
(註)1913(大正2)年、絵の創作活動で上高地を訪れていた高村光太郎(当時30歳)を追いかけて、(長沼)智恵子(当時27歳)が島々から岩魚留まで登ってきた一節。

余談だが、この光太郎と智恵子の恋のバカンスは、東京日日新聞(現毎日新聞)で「美しい山上の恋 洋画家連口アングリ」と報じられ、日本を代表する彫刻家高村光雲の長男の恋愛譚は、自由恋愛がまだタブー視されていた当時、恰好のゴシップ記事となり、その結果二人は結婚せざるを得なくなった。マスコミの野次馬根性は100年以上前からあったんですね(笑)

1泊2日で歩く上高地クラシックルート(徳本峠越え)
昭和初期までは上高地へのメインルートで、ウォルター・ウェストンや高村光太郎・智恵子夫妻、芥川龍之介などもこの道を通って上高地を訪れた。
距離約23.3km、累積標高差↑2253m↓1468mに及ぶロングコースで、しかも徳本峠までは距離約16km、累積標高差約1400mと、槍ヶ岳槍沢コースと遜色のないハードなコース。
亀足が加速しているヘタレな私が、果たして歩けるのか?

ここまでの様子はコチラ
クラシックルートで上高地へ プロローグ
クラシックルートで上高地へ ①島々~岩魚留小屋

11:10 岩魚留小屋(標高約1260m)
DSCN4278_20180926184153534.jpg
中間ベンチから歩くこと1時間34分で、島々宿から5時間5分で到着。
行程表(修正版)では12時20分到着予定だったので、なんと70分もタイムを短縮!
もっとも標準CT(島々宿~岩魚留小屋:5時間)通りなので至って普通のタイムなのだが、
亀足の私にとっては想定外の嬉しい誤算(笑)
 
利用者減少でしばらく休業中だったが、最近ピーク時限定(要予約)で復活したらしい。
DSCN4279_201809261841549ed.jpg
残念ながらこの日は閉まっていた。なお不在でもテント宿営地(5張)は利用可能なようだが、トイレは使用不可で、水は沢水利用になるようだ。

小屋の脇にある大カツラ
DSCN4282_20180926184224631.jpg
高村光太郎や智恵子もこの大カツラの木を望み、後に以下のように記している。

絶ちがたく見える、わがこの親しき人、
彼れは黄金に波打つ深山の桂の木
(智恵子)

十月一日に一山挙つて島々へ下りた。
徳本峠の山ふところを埋めてゐた桂の木の黄葉の立派さは忘れ難い。
彼女もよくそれを思ひ出して語つた。
(光太郎)

小屋の縁側をお借りして、昼食(お寿司&サンドウィッチ)にする。
DSCN4280.jpg
最近は行動中バテてしまい、あまり食べられないことも多いが、この日はまずまずの食欲。

昼食の後には追加ドーピングも忘れずに。
DSCN4281_201809261842238f3.jpg
奮発して後半に差がつく赤袋にしました(笑)

島々宿から11.5km、初日の行程(16km)の7割を歩いてきたが、
DSCN4277_20180926184151c85.jpg
残り標高差は875mと全標高差(1400m)のまだ6割近くも残っている(汗)

エネルギーをチャージして出発(11:33)
DSCN4284.jpg
なお右側の大カツラ裏がテント指定地。

岩魚留小屋~力水(3.0km) 標準CT:1時間40分 目標CT:2時間10分
classicroute_04.png

次のCPの力水までは距離約3.2km、標高差約560m(勾配率17.5%)
classicroute_04elevation.png
大した傾斜じゃないのだが、二俣~岩魚留小屋が平均勾配率6.5%(距離5.2km・標高差340m)だったので、約3倍
でも行程表よりまだ1時間以上のアドバンテージがあるので、多少遅れても大丈夫だろう。

小屋名の由来となった岩魚留の滝(11:35)
DSCN4285_20180926184227643.jpg

滝の少し上流で下山者と思しき男性が渓流釣りをされていた。
DSCN4286.jpg
岩魚は遡上できないのでは?(笑)

11:45 中ノ沢橋(標高約1315m)
DSCN4288_20180926184253876.jpg
大きな沢には丸太橋が架けられており、歩き易いように踏み板が渡されているのがありがたい。

12:12 障子川瀬沢(標高約1400m)
DSCN4289_20180926184255fbd.jpg
こちらは土台はあるが、橋はなし。あとで小屋番の方に伺ったところ、先代の丸太橋が老朽化し撤去したのだが、上流で一部流れを替えたので普段はほとんど涸れ沢で、新たに架橋しなかったそうだ。
でもこの日はそこそこ水量があり、しっかり靴が濡れました(笑)

この橋は2017年10月に架橋されたモノ。
DSCN4290.jpg
日々整備されている関係者には本当に頭が下がる。

天候によって水量が変わるので、橋の無い支沢を渡渉する際は慎重に。
DSCN4291_20180926184258d07.jpg
今日の天候でこの水量だったら、雨の予報の明日はチョッとハードかも。

高巻きする部分が増え、だいぶバテてきた(12:51)
DSCN4292.jpg

13:11 標識(←岩魚留小屋1.7km・徳本峠2.8km→)(標高約1560m)
DSCN4294.jpg
岩魚留小屋~力水間のほぼ中間点だが、既に標準CTの1時間40分が経過。
この調子だと目標CTの2時間10分は絶望的

力水へは南沢を外れて登っていくので、そろそろかと期待するもすぐ沢沿いに復帰。
DSCN4295_20180926184325969.jpg

今度こそ・・・と思うも何度も裏切られる。
DSCN4296_2018092618432760a.jpg
でも苦しいのは私だけでなく、あの大文豪もこのように記している。

路は次第に険しくなつた。が、馬が通ると見えて、
馬糞が所々に落ちてゐた。
さうしてその上には、蛇の目蝶が、渋色の翅を合せた儘、
何羽もぎつしり止まつてゐた。
「これが徳本の峠です」
案内者は私を顧みて云つた。
私は小さな雑嚢の外に、何も荷物のない体であつた。
が、彼は食器や食糧の外にも、
私の毛布や外套などを堆く肩に背負つてゐた。
それにも関らず峠へかかると、彼と私の間の距離は、
だんだん遠く隔たり始めた。
三十分の後、とうとう私はたつた一人、
山路を喘いで行く旅人になつた。


『槍ヶ岳紀行』(芥川龍之介)より。

良かった、芥川龍之介ヘタれだったんだ(笑)

14:05 標識(←岩魚留小屋2.6km・徳本峠1.9km→)(標高約1700m)
DSCN4298.jpg
力水まではあと600mほどなのだが、岩魚留小屋から2時間32分経過と、既に目標CT(2時間10分)を20分もオーバー。

最後の丸太橋を渡って左岸に移り、ようやく南沢と離れる。
DSCN4299_201809261843535ca.jpg

力水はまだか・・・
DSCN4300_2018092618435420b.jpg

まさかこれじゃないよね?
DSCN4301_20180926184356c69.jpg

14:44 力(ちから)水(標高約1810m)
DSCN4304_201809261843573e2.jpg
岩魚留小屋から3時間11分と目標CTを1時間もオーバー。
アドバンテージはほぼ無くなり、行程表通りになってしまった。でもある意味、自分の実力を冷静に分析し作成した行程表だったんだと少し自画自賛(笑)

斜面に竹筒が刺し込まれていて、そこから湧水が流れていた。
DSCN4305_20180926184424128.jpg
テン泊の場合、水が有料(1L200円)なので、ここがロハでの最終水場になる。

う、美味い!
DSCN4306_20180926184425d24.jpg
ペットボトル1本分(900ml)を一気に飲み干し、さらに給水する。

パラパラが落ちてきたので、カッパを装着。
DSCN4307.jpg
すでに14km以上歩いてきており、最後の急登でまたブレーキがかかり、小屋着が遅れる可能性もあるので連絡しておきたいのだが、携帯不通エリアなので連絡手段はなし。

少しでも早く着くよう頑張るしかないので、追加ドーピングも施し出発(14:58)
DSCN4308_20180926184428f0c.jpg

力水~徳本峠(1.3km) 標準CT:1時間20分 目標CT:1時間30分
classicroute_05.png

残り僅か1.3kmだが標高差約325m(勾配率25%)急登が待ち構えている。
classicroute_05elevation.png
鬼倍率0.8倍で、先日鬼ヶ岳に登ったのもこの鍛錬のためだったんです。

急斜面ではあるが、つづら折れに登っていくので思っていたほど急ではない。
DSCN4309_20180926184430d2b.jpg
でも”日本近代登山の父”とされるウォルター・ウェストンは、1893(明治26年)にガイドの上條嘉門次と徳本峠越えをした際、こう記している。

徳本峠に向かう険しいつづら折りの登りは、
如何な終わりそうにない。
午後はひどい暑さで、左右に迫る笹藪には、
そよとの葉ずれの音も起こらなかった。
峠の峰に着くと木陰に身を投げ出して、
奮闘の末にかちえた快いヒルネ(昼寝)(シェスタ)の夢をむさぼった


『日本アルプスの登山と探検』(ウォルター・ウェストン著、青木枝朗訳)より。

色付いたムシカリ(オオカメノキ)もあり、あと1週間ほどで見頃になるのかも。
DSCN4310.jpg

15:26 標識(←徳本峠1.0km・岩魚留小屋3.5km→)
DSCN4311_20180926184455900.jpg
風はなくカッパを着ているので蒸し暑いが、ウェストンがボヤくほどキツくはない(笑)

ダケカンバの黄葉はだいぶ色付いていた。
DSCN4312_20180926184457b25.jpg

8回ほどつづら折れし、ようやく上方が開けてきた(16:23)
DSCN4314_20180926184500726.jpg
雨は既に上がっていたが、カッパは脱がずよたよた登っていく。

16:43 徳本峠小屋(標高約2135m)
DSCN4316_201809261845001cb.jpg
着いたー! 島々宿から10時間38分でまさに行程表通り(笑)
力水からも1時間45分と意外に順調だった。力水のおかげなのかな?
あとから気付いたが、力水からの目標CTを1.1倍しかしていなかったのはご愛嬌(笑)


クラシックルートで上高地へ ③峠の小屋につづく…


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