尼子氏盛衰の地 月山富田城

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Byよっし~

2018年4月12日(木) 晴れ

三徳山投入堂に続く本日2座目はこの山。

月山(がっさん)
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島根県安来市広瀬町にある標高約192mの里山で、戦国大名尼子氏の本拠地だった
月山富田城がっさんとだじょう国史跡)が築かれた山といった方がわかりやすいかも。なお富田は”とみた”でなく、”とだ”と読む。
この地を巡り、山陰の覇者尼子氏とのちに中国地方の覇権を握る毛利氏との間で、激しい戦いが幾度となく繰り広げられた。
 
県道45号で飯梨川沿いを進んでいくと、前方に山城らしき小高い山が見えてきた。
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15:30 道の駅広瀬・富田城(標高約25m)
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月山の麓にあり、安来市立歴史資料館(200円)が併設されている。

富田城跡への登山口は資料館の裏手(南側)にある。
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天然の要害にある難攻不落の山城で、約170年間にわたって尼子氏の居城だった。
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南東以外の三方は急峻な斜面になっており、力攻めでは一度も落ちず、落城したのは毛利勢の包囲を受けて籠城し、兵糧が尽きて開城した1度(1566年)だけ。

尼子氏近江を起源とする(佐々木)京極氏の一族で、元々は出雲国守護の京極氏の守護代としてこの地に派遣。第4代経久(つねひさ)の時代に大きく勢力を拡大し、嫡孫の第5代晴久の時代には幕府から中国8ヶ国(出雲・隠岐・伯耆・因幡・備前・備中・美作・備後)の守護に任じられ、120万石の大大名となった。
大河ドラマ「毛利元就」で、経久を緒方拳さん、晴久を高嶋政宏さんが怪演したのはまだ記憶に新しいと思ったら、もう20年も経つんですね(笑)

今年9月23、24日には、ここで第25回全国山城サミット安来大会が開催予定。
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この尼子氏を中心とした大河ドラマ、十分面白いと思うのだが・・・

真田十勇士ならぬ尼子十勇士のタペストリー。
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山中鹿之助(幸盛)(前列中央)を筆頭に、尼子家再興のため毛利勢と戦った10人の武者たちで、武士道の鑑悲劇のヒーローとして、真田十勇士同様、講談本などで人気を博した。
時代によって人数や構成が異なり、実在したのは数人とされる。
山中鹿之助は大好きな戦国武将の1人で、彼についてはのちほど。

案内板に従い、資料館裏手の登り口に向かうと、整備工事の警備員の方から、
「歩いて登るんですか? 上にも駐車場がありますよ!?」と教えられる。

慌てて駐車場に戻って、車で登っていく(笑)
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15:43 月山富田城見学者用駐車場(標高約60m)
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下から登るより距離500m、標高差35m分ラクできた(笑)

駐車場から本丸までは760m
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あそこまで登るのか・・・
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ウコン(桜)(鬱金桜)
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サクラの品種の1つで、八重咲で淡黄色の花を咲かせる。

見事な反りを持つ打込み接ぎ高石垣
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出角部分(隅石)は長辺と短辺を交互に組み合わせた算木積みになっているので、尼子氏より後の堀尾氏(出雲松江藩)の時代のモノかと思われる。

現在居るのは、山中御殿の入口に位置する大手門跡付近。
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なお大手門は崩落して現存せず、通行禁止

池の上には軍用大井戸(直径2m、深さ3m)があり、現在も水が湧いている。
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看板に従い、アンダーパス用函渠の脇を登っていく。
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もちろん山中鹿之助像も見るつもりだが、先に山中御殿へ。
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山中御殿(さんちゅうごてん)(標高約85m)
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”やまなか”ではなく、”さんちゅう”と読み、城主の館(御殿)があったとされる。
富田城には3つの登城道(大手道、搦手道、裏手道)があり、全てこの山中御殿に通じている。

菅谷虎門近くにある雑用井戸
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山城にとって水の確保は最重要課題で、城内には複数の井戸が残っている。

菅谷虎門(すがたにとらもん)
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北側の菅谷口からの大手道を通って山中御殿に続く門。石垣積みの櫓跡などが残るが、これらも尼子氏より時代が下った堀尾氏時代のモノと推定される。

軍用道コースで本丸へ。
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ミツバツツジ(三葉躑躅)
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ツツジ科ツツジ属の落葉低木。

親子観音
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出雲松江藩初代藩主堀尾忠氏(吉晴の嫡子)が早逝し、嫡子忠晴が幼少であったため、一族で重臣の堀尾河内守(吉晴の娘婿)とその子勘解由(かげゆ)が家督横領を謀ったとされる御家騒動で死罪となった勘解由の墓と謂われる。

七曲り
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急峻な斜面をつづら折れに登っていく。

全面コンクリート舗装されているので歩き易いが、キツい。。。
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史跡整備工事の方が利用していた工事用モノレール。
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乗せてくれませんかね?(笑)

現在も史跡整備が進んでいるのだが、この数年で劇的変化(悪化)したようだ。

4年前に登られた方のレポでは、木々が茂り、築城時の石段石畳が残る山道だった。
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なんという愚かなことを・・・

現在山吹井戸分岐
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4年前山吹井戸分岐
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整備前は滑り易い急峻な山道で、ハイク用の靴や服装をしていない一般客でも安心して登られるようにとの配慮なのだろうが、これは明らかにやり過ぎ
山城探訪とは、木々が鬱蒼と茂り、苔むした石段や石畳が配された当時の面影が残る道を歩いてこそ、歴史を感じるのであって、危険個所の補修・復元レベルならまだしも、コンクリートで全面舗装するなんて言語道断
これは最早、整備というより、史跡破壊といっても良いほどの改悪行為

変えて良いことと悪いことがあり、これは明らかに後者で、例えるなら先ほど登った三徳山投入堂や熊野古道を全面舗装するようなモノ。不便さや危険性を内包した点も体験してこそ、本来の山城の存立理由を感じられるのであり、それを完全に排除してしまうのはおかしいと思う。
なぜ文科省(国史跡)がこんなひどい整備を許可したのか大いに疑問が残り、地元の土建業者を扶養するための無駄な公共工事だと勘ぐられても仕方ない。

山吹井戸
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山から吹き出る意から名付けられたとされ、現在も水が湧き出ていた。

遊歩道脇で健気に咲いていた花たちはいったいどう思っているのだろう。
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スミレ(菫)
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クサイチゴ(草苺)
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バラ科キイチゴ属の落葉小低木。

シャガ(射干)
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アヤメ科アヤメ属の多年草。

三の丸(標高約160m)
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階段を直進すると二の丸、右手に進むと本丸に至るが、崩落箇所の修復工事中のため直接本丸には行けず、二の丸へ。

二の丸(標高約184m)
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二の丸はかなり広く、上下二段の郭(曲輪)に分かれている。三角点(四等・月山)があるようだが、残念ながら気付かなかった。

この付近も眺望確保のため、大幅に木々が伐採されたようだ。
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二の丸の上段曲輪には東屋があった。
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二の丸と本丸の間には深さ10mにも及ぶ大きな堀切があり、一旦下る。
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まさに難攻不落の城に相応しい縄張り。
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この難攻不落がのちに災いとなり、富田城奪還を図った山中鹿之助は、毛利方が立て籠もるこの城を結局攻め落とすことはできなかった。

ウマノアシガタ(馬の足形)
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キンポウゲ科キンポウゲ属。

本丸(標高約190m)
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ここも二の丸同様、広くて上下二段の曲輪になっている。
関ヶ原での戦功により出雲富田24万石を与えられた堀尾忠氏が入城したが、山城で領内経営が難しい理由から幕府に新城建設を申し出て、1611(慶長16)年に松江城(国宝)が完成。
富田城は廃城となる。

本丸最高所(吐月峰)(標高約192m)にある勝日高守神社奥宮(かつひたかもり)
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駐車場から38分。

古事記にも記載のある由緒ある神社で、富田城築城前からこの地にあるとされる。
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祭神は大国主命幸魂(≒大物主命)

山上の桜はちょうど満開だった。
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二の丸に戻って小休止。

大国主命が国造りを共にした少名毘古那神と出会った美保関も望めた。
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あれは三瓶山
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そろそろ降りることに(16:34)
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正面に見える山は京羅木山(きょうらぎさん・473m)で、第二次月山富田城の戦い(1562~66年)の際、毛利元就が陣を置いたとされる。
山中鹿之助らが奮戦するも、毛利方の兵糧攻めや巧みな情報戦により、永禄9(1566)年に降伏し、尼子氏は滅亡する。

元就が諜報戦に優れただけでなく、自子を有力国衆であった小早川・吉川の両川家に養子に出すなど、領内の融和結束を図ったのに対し、晴久は元就の策略に嵌り、勢力拡大の原動力だった精鋭部隊の新宮党を排除するなど一族を纏められなかったのが、尼子氏が中国の覇者になれなかった本当の理由なのだろう。

この尼子の落武者伝説をモチーフにしたのが、横溝正史の八つ墓村
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犯人の森美也子(小川真由美)の由緒も、この広瀬町になっている。

確かに先が見えて歩き易く、整備前の山道を下るより安全なのだろうが、
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別の整備方法はなかったのだろうか・・・

山中鹿之助像を見にいく(16:45)
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奥書院(標高約70m)
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奥書院があったと伝えられ、現在は戦没者慰霊碑が建っているだけ。

太鼓壇(標高約65m)
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千畳平(せんじょうなり)に隣接する曲輪で、ここに山中鹿之助像がある。

山中鹿之助(幸盛)公像
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尼子十勇士の筆頭で、武勇と知略に優れた武将とされる。

手を合わせているのは、
「願わくば、我に七難八苦を与えたまえ」
三日月に祈った逸話に基づく。

大願成就(=尼子家再興)のためなら、敢えて自分に苦難を課してくれと願う強い意思の表れで、どえむの神様とも呼ばれる(大ウソ)
この逸話に因んだ小説や講談と同様に、この像も三日月の前立てに鹿の角の脇立てのを被っている。

尼子滅亡後は、傍系の勝久を奉じて三度に渡る主家再興を図るも、次第に勢力を喪失。
最後は織田信長に助力を求め、秀吉軍旗下として播磨上月城を拠点とするも、
毛利勢に包囲されて落城
鹿之助は捕虜として捕えられ、備中松山城に送られる際に毛利方によって謀殺された。

主家再興に忠義を尽くした悲運の武将として絶大な人気を博し、のちに勝海舟や板垣退助も絶賛。戦前には国民教育として教科書にも掲載されていた。

花ノ壇(標高約70m)
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かつて多くの花が植えられていたことに由来するとされる。

主屋侍所が復元されている。
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整備される前に来てみたかったな~
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今回、事前に予習していた様子と一変した風景を見て愕然
観光地としての安全性利便性も大事だとは思うが、一連の整備にはどうも別の意図があるとしか思えない点が残念だった。
大規模な整備は現在も進行中で、史跡保護と観光の両立の難しさを感じながら後にする。


やっぱり、山っていいね!


月山(月山富田城)(192m)
標高差132m
登り 38分、下り 26分、TOTAL 1時間17分
出会った人 10人ぐらい 出会った動物 なし
2018年:22座目

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