どうも、J-POP史研究家のよっし~です。(そんなもん、いつなった!?w)

今回の講義は、化粧品CM史で振り返るJ-POP考察の後編です。
前回の講義はお読みいただけましたか?
まだでしたら、前編をお読みいただいた上でご覧いただくと、より理解が深まると思います。

コスメシャーマン三十年戦争
~資生堂VSカネボウ 2大帝国の興亡~
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今回はコスメCM全盛期とも呼ばれる1983(昭和58)年から1988(昭和63)年までの6年間を
述べていきたいと思います。歴史に興味ない方も、しばしお付き合い下さい。
 
第4章 コスメ・ルネサンスの幕開け(1983年~1985年)

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第2次オイルショック(’79)による停滞期が底を打ち、後にハイテク景気と呼ばれる景気局面を迎え、
84年(昭和59)には日経平均株価が初の1万円台を突破。
その後迎えるバブル経済に向かって、コスメCM戦争も一段と過熱していった。

資生堂帝国、カネボウ連邦とも当時の売れっ子シャーマンを続々投入。

大人の女性がターゲットの資生堂帝国は、古典回帰として”政教分離”にこだわり、
政(=モデル)教(=シャーマン)の分離政策を継続。

才能はあるが、ビジュアルにやや難のある新音楽族シャーマンを使わざるを得ない状況下で、
モデルにエスニックなクールビューティー、モナ・リザ(アンジェラ・ハリー)を連投。

モデルのアンジェラ・ハリーさんは知的な大人の女性の雰囲気が人気を博し、約3年に渡って資生堂の顔を務めました。


一方のカネボウ連邦は、資生堂帝国でビジュアルと歌声は別物(エクボの屈辱)とされた
シャーマン松田聖子が、整形、垢抜けて洗練されたことでヘッドハンティング。

”三位一体説(シャーマン=モデル=アイドル)”に基づく
ヴィーナスとして起用する。

”ヴィーナス(聖子)の誕生”は非常に斬新で、1年に2シーズン登用されたのも彼女が初。
その後のアイドルシャーマン絶対王政期の礎を築いた。

また新音楽族や破れ服族出身のシャーマンなどヴィーナス以外の状況下では、
彼らに本来の音楽カテゴリーからイメチェンさせ、ミーハー族寄りの楽曲提供を強要。
一部の支持者からは”コマーシャル迎合主義”と揶揄されたが、
これらがのちのJ-POPのベースとなっていく。


beautycm1983001a.jpg ♪う、ふ、ふ、ふ、/EPO

 資生堂83年春 う、ふ、ふ、ふ、フォギー
 商品/フェアネス
 モデル/アンジェラ・ハリー
beautycm1983002a.jpg ♪め組のひと/ラッツ&スター

 資生堂83年夏 め組のひと
 商品/サンフレア アイシャドウ
 モデル/トリー・メンドーザ
beautycm1983003a.jpg ♪君に、胸キュン/YMO

 カネボウ83年夏 君に、胸キュン
 商品/レディ80サンデュー&サンケーキ他
 モデル/相田寿美緒
beautycm1983004a.jpg ♪恋は、ご多忙申し上げます/原由子

 資生堂83年秋 公私ご多忙用
 商品/フェアネス
 モデル/アンジェラ・ハリー
beautycm1984001a.jpg ♪Rock'n Rouge/松田聖子

 カネボウ84年春 聖子の口紅
 商品/レディ80 BIO(バイオ)口紅ピュアピュア
 モデル/松田聖子
beautycm1984002a.jpg ♪くちびるヌード/高見知佳

 資生堂84年春 くちびるヌード
 商品/フェアネス
 モデル/アンジェラ・ハリー
beautycm1984003a.jpg ♪ピンクのモーツァルト/松田聖子

 カネボウ84年秋 聖子のファンデーション
 商品/レディ80 BIOパウダーファンデーション
 モデル/松田聖子
beautycm1985001a.jpg ♪ベジタブル/大貫妙子

 資生堂85年春 ベジタブルスティック
 商品/フェアネス ベジタブル
 モデル/ミア・ニグレン
beautycm1985002a.jpg ♪にくまれそうなNEWフェイス/吉川晃司

 カネボウ85年夏 にくまれそうなNEWフェイス
 商品/サンセラミィ フレッシュパクト
 モデル/麻生祐未
beautycm1985003a.jpg ♪Love、かくし色/森山達也(The MODS)

 カネボウ85年秋 祐子のかくし色
 モデル/古手川祐子
beautycm1985004a.jpg ♪メトロポリスの片隅で/松任谷由実

 資生堂85年秋 水・金・地・火・木・土・天・冥・海
 商品/フェアネス コスモアイカラー
 モデル/楠本裕美
beautycm1985005a.jpg ♪プリンセス TIFFA/白井貴子&CRAZY BOYS

 カネボウ85年冬 気まぐれ肌に、簡単スキンケア
 商品/TIFFA(ティファ)
 モデル/麻生祐未


不祥事でシャネルズからラッツ&スターに改名した直後の曲。ナレーションが勝俣州和さんの声に似ているが違うのかな??♪Rock'n Rougeは作詞松本隆、作曲呉田軽穂(松任谷由実)のゴールデンコンビで、年間12位(67.4万枚)


よっし~のお気に入り④
80年代を代表する日本のパンクロックバンド、The MODSのボーカル、森山達也のソロシングル。プロデューサーは一風堂の土屋昌巳。


トリビア②
 
 コスメ業界のCMは、春・夏・秋・冬の4シーズンごとに商品設定されていて、
 シーズンプロモーションと呼ばれています。

 春・・・リップ(口紅)、アイシャドウ
 夏・・・パウダーケーキ、日焼け止め
 秋・・・アイシャドウ、リップ
 冬・・・ファンデーション、パック、保湿クリーム

 例外もありますが、主に上記のような商品をPRしたCMが多く見られます。
 特に春と秋は重要なシーズンで、ここでの戦いに火花を散らしています。



第5章 バブルシャーマン絶対王政(1986年~1988年)

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1985年のプラザ合意により、僅か1年間で80円高という急速な円高が進行。
金利引き下げ圧力により、行き場を失った投機マネーが不動産や株式市場に流入し、
いわゆるバブル経済に突入する。

コスメCM界ではポスト聖子として、多くのアイドルシャーマンを起用。
資生堂帝国はビーバップ男爵家の中山美穂が、聖子以来の年間2シーズン採用の偉業を達成。

カネボウ連邦では、おニャン侯爵家の国生さゆり、なんてたって伯爵家の小泉今日子
スケバン子爵家の南野陽子、同じくスケバン子爵家の浅香唯、おニャン侯爵家の工藤静香と、
立て続けに新人シャーマンを登用し、ついにアイドルシャーマン絶対王政を迎える。

”フリーメーソン”と呼ばれる職人(作詞・作曲等)たちも、竹内まりや、後藤次利、秋元康、
松本隆、筒美京平、NOBODY、中島みゆきなど錚々たる面々が集結。

”アイドルであらずんば、シャーマンにあらず”とも言われ、
アイドルシャーマン、フリーメーソン共々、まさに我が世の春を謳歌する。

この結果、美という錦の御旗を掲げ、庶民たちの財布から多くの金銀を散財させることに成功した。


beautycm1986001a.jpg ♪色・ホワイトブレンド/中山美穂

 資生堂86年春 色・ホワイトブレンド
 モデル/中山美穂
 作詞・作曲:竹内まりや(年間38位)
beautycm1986002a.jpg ♪ノーブルレッドの瞬間/国生さゆり

 カネボウ86年秋 ノーブルレッドはんなり
 モデル/国生さゆり
 作詞:秋元康、作曲:後藤次利(年間53位)
beautycm1986003a.jpg ♪ツイてるねノッてるね/中山美穂

 資生堂86年秋 ツイてるねノッてるね
 モデル/中山美穂
 作詞:松本隆、作曲:筒美京平(年間51位)
beautycm1987001a.jpg ♪水のルージュ/小泉今日子

 カネボウ87年春 水のルージュ。
 モデル/小泉今日子
 作詞:松本隆、作曲:筒美京平(年間32位)
beautycm1988001a.jpg ♪吐息でネット/南野陽子

 カネボウ88年春 吐息でネット。
 モデル/南野陽子
 作詞:田口俊、作曲:柴矢俊彦(年間11位)
beautycm1988002a.jpg ♪C-Girl/浅香唯

 カネボウ88年夏 夏はC。
 モデル/浅香唯
 作詞:森雪之丞、作曲:NOBODY(年間10位)
beautycm1988003a.jpg ♪MUGO・ん…色っぽい/工藤静香

 カネボウ88年秋 眉とシャドウ。ん、色っぽい。
 モデル/ 工藤静香
 作詞:中島みゆき、作曲:後藤次利(年間6位)
beautycm1988004a.jpg ♪彼女とTIP ON DUO/今井美樹

 資生堂88年秋 技ありイッポン、新アイシャドー
 モデル/今井美樹
 作詞:秋元康、作曲:上田知華(年間8位)



前年の映画ビーバップ・ハイスクールのヒロインやレコード大賞最優秀新人賞受賞と人気絶頂だったミポリンこと中山美穂さん。まさにアイドルですね。

この時期はモデルとして沢口靖子さんも多用(84冬・85春・86春・87秋)されていました。
しかもシャーマンにシカゴの元ボーカル、ピーター・セテラを使うなど本当に贅沢な時代でした。


だが頂点を極めたシャーマン絶対王政にも、次第に暗い影が忍び寄っていた。

1つは、シャーマンたちへの過度の権力集中

新音楽族の頃は商品>シャーマンで、自社商品のPRに相応しいシャーマンや歌を選ぶことが多かったが、
三国志時代辺りから王政側は次第に商品イメージにあった曲作りをシャーマン側に依頼したり、
逆にCM採用を目論むシャーマン側から王政側への擦り寄りとも思われる曲も増えてきた。
そしてルネサンス期には曲名や歌詞に、”ルージュ””唇”などのコスメワードが多用され、
絶対王政期では商品特性そのものが曲名になってしまうほど露骨になっていく。

こうなるとシャーマン>商品シャーマン絶対主義で、本来商品の引き立て役のはずが
新人アイドルシャーマンの登竜門的なCM作りとなり、シャーマンごり押し的なCMが増加。
またお世辞にもアーティストと呼べない新人シャーマンをあまりにも多用したことで、
シャーマンが発する心の琴線に触れる言霊の重みを無くしていったと思われる。

もう1つは、ミーハー族の聖地だった”ザ・ベストテン”(89年9月終了)や”歌のトップテン”(90年3月終了)と
いった歌番組が歴史的役割を終えつつあったこと。
国民が皆同じテレビ番組を見て、そこで流れる曲やCMから同じ感動を共有する時代から、
それぞれが個別に楽しむ多様性の時代への変化が芽生え始めていた。

さらにバブル崩壊に伴う消費低迷、予算削減などがトドメを刺す形となり、
バブルシャーマン絶対王政は徐々にその権力基盤を失っていくことになる。


最終章 シャーマン絶対王政の終焉(1989年~)

”昭和”から”平成に代わっても、しばらくはバブルシャーマン絶対王政の余韻が続いていた。
ただアイドルシャーマンバブルの反省からなのか、登用が減った感があり、
再び政教分離的なCMが増え、内容もシャーマンを前面に出すものから、
好感度の高いモデルや女優を使い、女性の自分らしさを提案するスタイルが増加。
今では一般的だが、ヒアルロン酸やコラーゲン入りなどの機能性化粧品が
出始めたのもこの頃からだった。

よっし~のお気に入り⑤
 ♪セブンティ・カラーズ・ガール/稲垣潤一
カネボウ89年春:70colors(フィットネット口紅)のCM曲で、CMでのモデルは鈴木保奈美さん。
武井咲さんを使ったこの動画、コスメCMとして十分使える素晴らしい出来栄えです。


また基礎化粧品を主力とする通販系メーカーの台頭やライフスタイルの多様性なども、
従来のマス・コマーシャル的なCMが減った要因かと思われる。

だが、この時期は”24時間戦えますか?”とするモーレツ主義が蔓延っており、
筆者の帰宅は毎日終電かタクシーで、休日も半分は出社の日々だった。
TVを見るのは深夜帯中心だったので、CMは某宝石店や深夜族向けが多く、
コスメCMに触れる機会が激減。
これ以上この時期のコスメCM史を論ずるほど詳しくないので、ここで終了させていただきます。


女性だけでなく、男性をも魅了した昭和のコスメCM音楽史、いかがでしたか?

♪君に、クラクラ/SKY(カネボウ81年夏・城戸真亜子)
♪愛の呪文/石川秀美(コーセー化粧品85年秋・石川秀美)
♪くちびるスウィング/小林明子(資生堂87年春・桐島かれん)
など、今回は紹介できなかった名曲も多く、J-POPが一番輝いた時代でした。

なお資生堂やカネボウの歴代CM曲が多数収録されたこんなCDも発売されています。
ototsubaki-beni.jpgototsubaki-siro.jpgBellekanebo.jpg
音椿
~the greatest hits of SHISEIDO~
紅盤
音椿
~the greatest hits of SHISEIDO~
白盤
Belle
~カネボウ・ヒット・ソングス

他のジャンルでも作ってみたいところですが、作るのが大変だったので、
もう作りません、多分(笑)

※本論は筆者の私見に基づくもので、特定のメーカー、歌手等を讃美、批判するものではありません。


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