阿曽原温泉1泊ハイク~1日目その2~

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Byよっし~

2014年8月8日(金) 曇りのち雨

台風が近づいた中の阿曽原温泉1泊ハイク
いよいよ水平歩道の始まりです!
DSCN1845.jpg
こんな天気で水平歩道を歩こうとする私は、やっぱりどえむなのかな?(笑)

標高約1000mの岩肌を削って造られた文字通り水平な道で、欅平上部から仙人谷までの約13km
黒部川の水力を活かした電源開発のために1920(大正9)年に開かれ、ダムや発電所建設用の資材を運搬するため、歩荷(ボッカ)たちが50~100kgを担いでここを通ったと謂われる。
 
花崗岩の険峻な岩壁を削った道は、道幅およそ1m
DSCN1847.jpg
最も狭い場所では僅か70㎝ほどしかない。

風雨や雪による浸食作用により削られた場所も多く、丸太や鉄板で足元を補強してある。
DSCN1848.jpg
山肌側には手すり代わりの番線(針金)が張られているが、谷側には防護柵などはなく、
さながら”蜀の桟道”のようだ。
雨で路面が濡れているので、滑り易い丸太や鉄板部分は特に慎重に歩かざるをえない。
水平歩道では体力以上に、緊張感を維持することが重要である。

左手は黒部の激流が造り上げた深い断崖になっており、落差はおよそ250m
DSCN1849.jpg
昔から、”黒部に怪我なし!”という諺があるそうだが、
これは落ちたら怪我どころじゃ済まないという意味らしい((゜Д゜;)))
事実、残念なことに転落して命を落とされる方があり、遺体が収容できない場合もあるそうだ。

特に危険なのは、歩きながら写真を撮ったり、歩きながら風景を注視したりするなどの
”ながら行為”
水平歩道に限らず、一般の登山道でも言えることだが、人間一度に二つの行為をしようとすると、
関心の大きい方に注意力がいってしまい、もう一方は漠然とやってしまう傾向にある。
この場合だと、写真を撮ることや景色を眺めることに没頭してしまい、
歩くことへの注意力がどうしても散慢になりかねない。
普通の場所ならいざ知らず、道幅1m、足元は落差200m以上の断崖絶壁という環境下で、
万一足を滑らせたりバランスを崩すせばとんでもない悲劇が起こりかねない。
写真撮影したり、景色を鑑賞する場合は必ず立ち止まり、足場を確保して、
片手を番線や岩肌に添えて行うようにしましょう。

この辺りで前方から10人ぐらいの団体さんがやってきた。
DSCN1852.jpg
立ち止まって目一杯山側にへばりついてじっとし、団体さんに先にすれ違ってもらう。
なお道を譲る場合は山側で留まるようにし、決して谷側で留まらないこと。
もし対向者のザックでも当たってバランスを崩したら一巻の終わりですから。。。

どうやらこのグループはツアー会社のハイクらしく、昨日は阿曽原小屋に泊まられたそうだ。
そして最後尾のガイドさんらしきリーダーの方が、
G 「ご苦労様です。工事の方ですか?」

いえ、ただのヘタれハイカーです(笑)
工事用ヘルメットを被り、黄色と黒のカッパを着ているので、工事関係者だと思われたのだろう。

少し広くなった場所でお昼にしよう(12:07)
DSCN1853.jpg
コンビニで買ったサンドイッチを頬張り簡単に済ます。

雨で黒部川の対岸は全く見えず。
DSCN1854.jpg

12:19 蜆谷トンネル(標高約950m・阿曽原温泉まで残り8.6km)
DSCN1855.jpg

花崗岩をくり抜いた素掘りのトンネルで、距離が短いのでヘッデンは不要。
DSCN1856.jpg
ただし高さが1.7mほどしかない部分もあるので、頭上にご注意を。

道は概ね水平だが、所々軽いアップダウンもある。
DSCN1857.jpg

番線は特に道幅が一段と狭くなった場所や沢付近に多く張られているが、
DSCN1858.jpg
中には”ここ必要?”という場所に張られていたり、”なんでここにはないの?”というよう箇所も見受けられた。
関電が黒部ダムを建設する際の条件として、国から水平歩道ならびに旧日電歩道(下ノ廊下)の維持・補修が義務付けられており、どうやら予算と工事業者による大人の事情が働いているのかも。

少し小降りになり、対岸に奥鐘山(おくかねやま:1543m)の大岩壁(西壁)が見えてきた。
DSCN1859.jpg
後立山連峰の唐松岳(2696m)から続く尾根の末端で、幅1km・高さ800mにも及ぶ西壁は
国の特別天然記念物ならびに特別名勝に指定されている。
クライミングの名所でもあり、その難易度の高さからクライマーの間では”黒部の怪人”とも呼ばれ、
黒部別山大タテガビン南東壁(=”黒部の魔人”)と丸山東壁(=”黒部の巨人”)とともに
黒部三大岩壁に数えられる。

谷を縫うように道が造られているため、対岸がすぐそこに見えてもなかなか近づかない。
DSCN1860.jpg

2つ目のトンネルを抜けると、志合谷(しあいだに)に入っていく。
DSCN1862.jpg
ここも距離が短いのでヘッデンは不要。

ここから志合谷の対岸を見ると、見事なまでに水平だということが分かる。
DSCN1863.jpg

あれが有名な大太鼓だろうか?
DSCN1864.jpg

”弁慶の○○○○”というような名前が付いていそうな場所も。
DSCN1866.jpg

前方に大きな雪渓が見えてきた。
DSCN1869.jpg
雪渓は水平歩道の先を大きく遮っていて、とても渡れそうにない。

13:18 志合谷トンネル(標高約930m・阿曽原温泉まで残り7.0km)
DSCN1870.jpg
ここからトンネルを通って対岸の出口までいく。かつては谷を通っていたようだが、
このように雪渓が秋頃まで残り、雪渓が消えても増水時に渡渉するのが危険なため、
素掘りのトンネルが掘られたそうだ。

長さ約150mもあり、内部は真っ暗でしかもU字型にカーブしているのでヘッデンが必要。
DSCN1871.jpg
内部の高さは2mほどだが、所々岩がせり出して低くなっている箇所があるのでご注意を。
と偉そうなことを言ってますが、2回ほどしこたま頭をぶつけました(笑)
やはりヘルメットを被るか、ない場合はヘッデンを壁や天井に当てながら進むと良いと思います。

また足元には水が流れており、場所によっては水溜りも。
DSCN1872.jpg
トンネル内の白く光っている部分は、花崗岩のガラス質成分が光を反射しているそうです。

出口らしき灯りが見えてきたので進んでみるが、高さ1mほど岩が重なっている。
DSCN1873.jpg
よじ登って外に出て見ると、なんと足元には雪渓があって行き止まり。
後から小屋のご主人に伺ったところ、ここは昔の出入口だったそうで、
危険なので岩でバリケードしてあるそうだ。

現在の出口はそのすぐ先にありました(13:30)
DSCN1874.jpg
トンネルを出ると再び雨足が激しくなっていたので、雨宿りを兼ねてトンネル出口付近で小休止。

この志合谷は雪崩の巣窟らしく、かつてこの地には黒部川第3発電所建設に従事する作業員の
鉄筋コンクリート造の宿舎があったが、1938(昭和13)年12月に起こった泡(ほう)雪崩で、
3階・4階部分が吹き飛ばされた。
雪崩の勢いは凄まじく、宿舎はなんと前方に見える600mも離れた黒部川対岸の奥鐘山西壁まで
一気飛ばされて激突。84名の方が亡くなられたそうだ。合掌。

雨足は弱まるどころか、むしろ強くなってきたが、意を決して腰を上げる(13:34)
DSCN1876.jpg
もうカッパの中や靴もビショビショなので、あまり関係ありません(笑)

ところどころ岩肌から滝のように水が落ちている場所が増えてきた。
DSCN1877.jpg
下手に避けようとせず、そのまま水しぶきを浴びながら進んでいく。

そろそろ核心部の大太鼓に差し掛かったようだ。
DSCN1878.jpg

黒部川があんな下に見える。
DSCN1879.jpg

13:55 大太鼓(標高約930m・阿曽原温泉まで残り6.2km)
DSCN1880.jpg
岩肌をコの字にくりぬいてある。
100年近く前によくこんな道を造ったもんだ。人間の力って本当にスゴイんだな・・・

抜群の高度感で、キャン●マがキュンとなりそうです(笑)
DSCN1881.jpg
中国にはもっと怖い華山(かざん)の長空桟道というのがあるらしいが。。。

どうしても身体を番線の身近に寄せたくなるが、腕を伸ばし心持ち曲げる程度で握った方が良い。
DSCN1882_20140811214433806.jpg
あまり身体を山側に寄せ過ぎると、出っ張りに接触してバランスを崩しかねない。

水平歩道にはこのような心休まる道幅の広い箇所もある。
DSCN1883.jpg

この辺は崩れ易い安山岩のせいか、天井や壁面の凹凸が多い。
DSCN1884.jpg
身長180cmの私は、ここまでで合計6回ほど頭をぶっつけました(笑)
たんこぶができるくらいならまだしも、出血したり転倒したりすると危険なので、
やはりヘルメットがあった方が良い。

前方に大滝が見えてきた。
DSCN1885.jpg
そろそろオリオ谷かな?

14:50 オリオ(折尾)谷(標高約940m)
DSCN1887.jpg
今度は雪渓に代わって、堰堤が前に立ちはだかる。

(この区間の行程)
11:12水平歩道始点・終点
12:07(昼食)12:14
12:19蜆谷トンネル
12:59トンネル
13:18志合谷トンネル入口
13:30志合谷トンネル出口(雨宿り)13:34
13:55大太鼓~14:50オリオ谷(堰堤)

阿曽原温泉1泊ハイク~1日目その3~ につづく・・・

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Comments 8

山ガールの青レンジャー  

よっし~さん、こんにちわ。

やっぱりお山は凄いお天気でしたね。。。さすがどえむです~。とてもではありませんが、お山に行こうとは思えないです。。。

濡れた丸太の橋がきょわいですね。。。少しでも崖方面に傾斜があったら・・・弁慶の~のところの丸太橋、滑って落ちそうです。。。ご無事で何よりでした。青レンジャーもああいう高度感のあるところは、キャンキュンします。。。(とてもまともには言えないので、へっぽこ登山隊用語で「キャンキュン」と言っています~。てへ。少しはきゃわいく聞こえます~。)

その3では無事温泉に到着されるのでしょうか?楽しみです。

2014/08/12 (Tue) 12:34 | EDIT | REPLY |   

よっし~  

Re: タイトルなし

山ガールの青レンジャーさん こんばんは

ご覧のような天気でした。
正直、自分でもこんな日にお山、しかも落ちたら命がない水平歩道を歩くのはどえむだと感じました(笑)

濡れた丸太、本当怖かったです。
一応滑り止めの小さい板が打ち付けられていたんですが、1歩1歩慎重に歩きました。

若い女子もキャンキュン、使うんですね(笑)

オリオ谷から先も長かったです。。。
次編は青レンジャーさんばりの入浴シーンがお見せできそうです(笑)

2014/08/12 (Tue) 20:51 | EDIT | REPLY |   

ひつじ  

はじめまして。
折々、拝読しております。
ハイキングもまだできない体調なのですが
お山に憧れています。

ものすごい迫力のお写真、息をのんで拝見しました!
「黒部の太陽」を読んだ中で
大きな資材を背負って 人がコツコツと進む描写があったのを思い出しました。
まさに人跡未踏の地ですね。

私もいつか一人でお山にでかけられる日を目指して
少しずつがんばりますーー!

2014/08/12 (Tue) 21:30 | EDIT | REPLY |   

星好夜  

よっし~さん、こんばんは~

ご無沙汰レス^^;

いや~、高所恐怖症の人には無理な登山道ですね。

なんか番線に安全帯のフックを掛けて歩きたい気分
です。

私も「ただのヘタれハイカー」と思ってましたが、
硬派じゃないですか!?

しばらくは、硬派が楽しめそうです。

ファイト~~ 一発!!

2014/08/12 (Tue) 22:15 | EDIT | REPLY |   

よっし~  

Re: タイトルなし

ひつじさん はじめまして&こんばんは

コメントいただきありがとうございます。

水平歩道は本当によくこんなところに道を造ったな~と思うほどスゴイ場所でした。
重機も使わず人力のみで掘削し、絶壁には鉄筋を打ち込んで丸太で足場を組んだ道は、普通に歩くだけでも危険なのに、ここを何十kgもの歩荷を背負って資材を運んだと思うと本当に想像を絶する困難だったと感じました。

私も「黒部の太陽」は大好きな映画で、最近ようやくDVDがリリースされたので、何度も見ています。
黒部ダムもそうですが、先人たちの偉業を前にすると、大自然の凄さと自分のちっぽけさが改めて感じさせらます。

事情でお山に行けないそうですが、いつかこの道を歩けるように頑張って下さい。
こんなヘタレハイカーの私でもなんとか歩けましたから、きっと大丈夫ですよ。

2014/08/13 (Wed) 00:35 | EDIT | REPLY |   

よっし~  

Re: タイトルなし

星好夜さん こんばんは

>私も「ただのヘタれハイカー」と思ってましたが、硬派じゃないですか!?

いえいえ、ほんとヘタれハイカーです。
今回も標準コースタイム5時間のところ、8時間もかかってしまいました。


>いや~、高所恐怖症の人には無理な登山道ですね。

写真では結構狭く感じますが、実物を歩いた感じは意外と道幅があると思いました。
本当にキャンキュンの場所は僅かで、ほかはそれほど怖いとは感じないかも。
体力、経験は確かに必要ですが、一番大切なのは緊張感を持続することだと思います。
10分、20分程度の核心部はほかの山にもよくありますが、ここは常に気を張って歩かないとならないのに、次第に恐怖感が麻痺してくるところです。
何時間も緊張感を持続するのは困難なので、こまめに休憩して緊張を解くことに注意しました。
もっとも休憩出来る場所は少ないですが。。。

>なんか番線に安全帯のフックを掛けて歩きたい気分です。

番線は数m置きにアンカーボルトで固定されているので、フックを使うと装着脱着が増えてかえって危険だと思います。

続きもお楽しみ下さい。

2014/08/13 (Wed) 00:48 | EDIT | REPLY |   

通りすがりの者  

はじめまして。 楽しく拝見してます。私も以前に登山初心者ながら温泉に魅せられて阿曽原温泉をピストンしました。ブログを読んでいると当時のことが思い出されて楽しくなっています。私はほぼ情報の無い時に行ったので、よっし~さんの詳しいレポートを拝見していれば当時どれだけ行動が勇気つけられただろうと思ってます。

参考ながら私の感想を申し上げますと、水平歩道は大太鼓辺り以外は周囲に木が茂っているので、比較的恐怖感は無かったです。ただ冒頭にも書かれているように『ながら行為』は危険だと思います。特に飲料を飲んだり、デジカメで撮影する時はザックを下すとかして安全を確保してからが良いと思います。志合谷トンネルはヘッドランプは必需品でした。ホント真っ暗な闇です。秋の観光シーズンの黒部峡谷鉄道は混雑するので、トロッコ電車の乗車は朝一で行くつもりで行動した方が良いです。

2016/06/25 (Sat) 04:30 | EDIT | REPLY |   

よっし~  

Re: タイトルなし

通りすがりの者さん はじめまして

コメントいただきありがとうございます。
阿曽原温泉、まだ2年しか経っていないのに、もうずいぶん前のことに思えます。

コース自体はそれほど危険という訳ではないのですが、緊張感を何時間も維持するのが大変でした。
しかもだんだん恐怖感や緊張感が麻痺してしまうのも不思議ですね。
なかなかまとまった休みがとれないので、欅平から1泊のハイクでしたが、機会を見つけて黒部ダムから歩いてみたいと思います。

2016/06/26 (Sun) 10:48 | EDIT | REPLY |   

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